神戸旅行 〜ヨドコウ迎賓館とタイルとステンドグラス〜

ヨドコウ迎賓館の天井。フランク・ロイド・ライト設計の名建築 お出かけ
ヨドコウ迎賓館4F天井

フランク・ロイド・ライトの名建築 ヨドコウ迎賓館を訪ねて

愛知県の明治村には、フランク・ロイド・ライトが設計した有名な「旧帝国ホテル」の玄関口が移設されており、大好きな場所です。カフェも併設されているので、明治村の年パスを買ってしょっちゅう行っています。

何回行っても見飽きない明治村「旧帝国ホテル」

そんな私に、以前友人が「帝国ホテル建築物語」という本を誕生日プレゼントとして贈ってくれました。激動の時代、国の名誉をかけたホテルのリニューアルに、フランク・ロイド・ライトという天才に振り回されながら奔走する人々。若き弟子たちの努力と葛藤。そして重要な建築物として明治村に移築し保存しようとする人々の情熱…。あっという間に興奮して読み終えてしまうめちゃくちゃアツい本でした!

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その本を読んで以来、いっそうフランク・ロイド・ライトという困った(?)天才にますます興味を持ちました。

ヨドコウ迎賓館は神戸の芦屋なのでなかなか行くタイミングがなかったのですが、たまたま明治村でお話したおじさまが、「ヨドコウはもう行った?あそこはすごいよ。個人宅だから遠慮ないこだわりが詰められてて、あれに比べれば帝国ホテルなんて大雑把」と、強烈に神戸のヨドコウ迎賓館をおすすめしてくれたのです。

これは見ておかなければ!ということで、一泊二日の神戸旅行に行ってきました。

まずは神戸の異人館巡り

若い時に2回くらい来た神戸の印象は「坂が多い」「観光船に乗ってカモメに怯えた」「喫茶店のおばちゃんが怖い」「チーズケーキ高くてまずい」「中華街あんまりにぎわってない」というなぜかマイナスのものしかなかったのですが(多分何も調べずに行ったと思う)、いい大人になってから再訪すると落ち着いて洗練されたすごく美しい街でした。

特に神戸の異人館などの古い建築巡りは、今興味を持っている古いガラスやタイルなどにわんさかお目にかかれて、若い時では感じることができなかった面白さがありました。逆にあの頃はいったい何をしに来ていたんだろう?
暖炉周りにはそれぞれ部屋のテイストに合わせたタイル、玄関にはさりげないステンドグラス、優美なランプシェード…。細かい部分のちょっとした遊びにこの時代の心の豊かさを感じます。

たくさん周ったのでどの写真がどの場所かわからなくなっちゃっていますが…。
しかしやっぱり一日中坂を登ったり降りたりするのは疲れますね。
この日はユーハイム本店でバームクーヘンとケーキを食べて、ホテルの近くの「十字屋」さんで洋食のディナーをいただいて二日目に備えました。

電車に乗って芦屋のヨドコウ迎賓館へ

ライトが帝国ホテルの仕事で来日している間に日本で作った建築物は、林愛作邸、自由学園明日館、そしてヨドコウ迎賓館です。
といっても、帝国ホテルが完成する前にいろいろ揉めてライトは帰国してしまっているので、実際は彼の日本人のお弟子さんたちが引き継いで完成させたそうです。

以下、ヨドコウ迎賓館HPよりの引用です。

ヨドコウ迎賓館は、山邑家別邸として1918年(大正7年)にアメリカが生んだ近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)によって設計されました。
ライトがアメリカに帰国後は、彼の弟子である遠藤 新と南 信が引き継ぎ、1924年(大正13年)に竣工。1947年(昭和22年)に株式会社淀川製鋼所が社長邸として建物を購入し、1989年(平成元年)より「ヨドコウ迎賓館」として一般公開しています。
1974年(昭和49年)には、大正年間の建物として、また鉄筋コンクリート造の住宅建築として初めて、国の重要文化財に指定されました。
日本では旧帝国ホテルの設計者として知られているライトですが、建築当初の姿をほぼ完全に残すライトの住宅建築は、日本にはこのヨドコウ迎賓館のみです。
敷地は南北に細長く、ゆるやかな南傾斜となっており、建物はその山肌に沿って階段状に建てられています。幾何学的な彫刻を施した大谷石や、マホガニーの複雑な木組み装飾、植物の葉をモチーフとした飾り銅板など、自然と融和するライトの建築思想を随所から感じられます。
建物は緑に囲まれた小高い丘の上に建ち、屋上のバルコニーからは六甲の山並み、市街地や大阪湾を眺望することができます。

神戸から阪急電鉄「芦屋川」もしくはJRか阪神電鉄「芦屋」から徒歩で数十分ですが、急坂の上にあるので足に自信がない方は行きはタクシーの方がいいです。
ヨドコウ迎賓館のあたりは「緑に囲まれた坂の上の閑静な住宅街」というかんじで、周りのお家も大きくて立派…!

森の中へ入るとだんだん建物の形が見えてきます。もう玄関入る前からむせかえるようなライト感!どこを切り取っても美しい〜!
以前東京の自由学園明日館にも行ったことがあり、そこもいたるところにライトらしい装飾があったのですが、どちらかというと学校らしい静謐でシンプルな印象でした。でもヨドコウ迎賓館は!どこもかしこも凝りまくりです!

木の中から姿を現したヨドコウ迎賓館

ずっとライトライト言ってはいますが、建築の知識が微塵でもあるわけではないただのミーハーなので、語彙がないのが悔やまれます…。館内を写真を撮りながら周ってる間中ずっと「はぁ〜。」「すごい…。」しか言えてなかったです。

あらゆる窓には木漏れ日を演出する装飾がなされ、和室とも調和しています。4階の食堂から伸びているバルコニーは、住宅というより美術館みたいな解放感で、芦屋の街が一望できます。どこかの大学の建築学科の生徒さんと先生と思われるグループも見学していて、きっと建築が分かる人にはもっと色んな視点で観察できるんだろうな。

何度目かの神戸旅行にぜひおすすめ!

内部をじっくり2周して、思った以上の大迫力の建築に胸がいっぱいになりました。
神戸駅から少し離れていますが、古い建物好きな方には絶対おすすめなのでぜひ行ってみてください!

京都もそうですが、「何度か行ってるし有名どころもほとんど見たからな〜」と思っている場所にも、まだまだ知らない見どころがたくさんありますね!

この日は昼から雨が本降りになったので、三宮でラーメンを食べてから神戸駅に戻り早めに新幹線に乗って帰途につきました。名古屋駅からたったの1時間の神戸、ぜひまた遊びに来たいです。
ちなみに後日また明治村の帝国ホテルのカフェに行ったのですが、手入れの点ではやっぱりヨドコウのほうがしっかりしてるなーと思いました。明治村も度重なる重要文化財の修繕でお金がかかるんだな、きっと。

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